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近代経済学 |
市場社会主義 市場社会主義とは、商品生産の廃絶ではなく、市場の仕組みを通じて社会主義の理念を実現しようとする思想・運動・実験をいう。ソ連型社会主義の困難、それが失敗した重要な要因のひとつに市場の排除があると考える。この論点は、マルクスが想定していた「経済全体の意識的・計画的な運用」の未来像、商品生産の廃絶に関わっている。 市場社会主義の理論としては、1930年代の「社会主義計算論争」のなかで、ポーランドの経済学者ランゲが、市場機構を模写して中央計画官と企業との間で価格情報をやり取りすること(模写と試行錯誤)で均衡とパレート効率が達成できると主張した。これが市場社会主義の理論的原型となっており、これまでに3つの実験が行われた。すなわち、(a)ユーゴスラビアの自主管理社会主義、(b)1968年以降のハンガリーの新経済メカニズム、(c)改革開放期の中国社会主義、である。ところが、それぞれは市場社会主義という共通項で括ることもできるが、むしろ政治体制の特殊性の強烈な相違によって特徴づけられる。(a)(b)は失敗したが、(c)はダイナミックな発展を維持している。1990年代以降、新しい市場社会主義モデルが多様に提案されている。社会主義を人間の全面的発達を保障する制度として理解する立場もそのひとつである。 (田中宏) |