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近代経済学 |
社会主義 社会主義の最もシンプルな定義は、生産手段の大多数が私的に所有されず、社会的に所有され運営されている社会のことである。初期の社会主義とは理想社会を空想するものであったが、20世紀になると、社会主義は思想、運動そして経済体制の3つの側面をもつようになる。経済体制としての社会主義は資本主義の次に進むべき社会と理解された。 20世紀には2つの実験が行われた。ひとつはロシア革命に始まり、一党制、国家的所有、中央計画経済を主要な特徴とするソ連型経済体制である。もうひとつは、イギリス労働党政権やスウェーデン社会民主主義政権の経済運営である。その違いの参照基準とされたのはマルクスであった。 ところが、マルクスの未来社会像やその文献に照らして、旧ソ連が社会主義であったかどうかについては多くの批判と論争が繰り広げられている。マルクスはこの未来社会の詳細に深入りすることを意識的に避けた。かれの著作での言及箇所を拾い集めると、(1)生産手段の私的所有の廃止、(2)自由な生産者の自由な連合、(3)一定の限度内での社会的権威の承認、(4)労働に応じた分配、(5)経済全体の意識的・計画的な運用と商品生産の否定、(6)国家の階級的性格の変化と死滅、(7)より高度な発展段階としての共産主義、ということになる。 (田中宏) |