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近代経済学 |
日本的経営 日本的経営とは、日本の大企業に特徴的な経営慣行・方式を指す言葉である。日本的経営は、戦中戦後にいくつかの慣行が形成され、高度成長期に整備され大企業を中心に幅広く見られるようになった。 日本的経営を初めて評価したのは、ジェイムズ・アベグレン(『日本の経営』1958年)といわれる。それまで日本企業の後進性とみなされていた3つの側面、すなわち終身雇用(いわゆる長期雇用)、年功序列、企業内組合に再評価の光をあて、日本的経営の特長とみなした。 1960年代の高度成長期には、新卒を正規社員として一括採用し、定年まで長期雇用し、年功序列(勤続年数と社内功績の積み上げ重視)によって社員の忠誠心を涵養し、企業別組合により労使協調を図る、といった経営慣行・方式が、日本の大企業を中心に中堅企業にまで広がりをみせる。急速な設備拡張などに伴い各企業とも人材が払底するなか、優秀な人材を囲い込み経営拡大を進めていく推進力となった。さらに、1970年代の石油危機に対しては、小集団活動などを軸に全社上げての取り組みを促し、いち早く石油危機を克服して80年代の「日本の世紀」をもたらす。日本的経営は、そうした影の主役として、内外の注目と評価を集めた。 しかしながら、1990年代以降は、バブル経済が崩壊するなか評価も一転して地に落ち、グローバリゼーションさらにはアメリカナイゼーションの下で、雇用重視から株主重視への傾向が強まるなど、日本的経営離れが内外で進んだ。護送船団方式と呼ばれるなど裁量的な行政指導(見えない規制)を特徴とする戦後日本型金融行政は、主要銀行の経営破たんなどで行きづまり、ルール化・法制化による見直しを余儀なくされた。規制緩和は、金融だけでなく雇用慣行など各分野を巻き込んで進められた。非正規雇用の比率が急速に高まるなか「平等神話」は崩壊し、さらにアメリカ発の国際金融危機とリストラの下、格差と貧困の拡大が深刻な社会的問題となっている。 (1)J.C.アベグレン/占部都美監訳『日本の経営』ダイヤモンド社、1958年。 (2)尾高邦雄『日本的経営』中公新書、1974年。 (3)基礎経済科学研究所編『地球社会の政治経済学』ナカニシヤ出版、1998年、第5章。 (十名直喜) |