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近代経済学 |
アウトソーシング アウト(外部)ソース(源泉)を動詞化したもので、外部資源活用とも呼ばれる。資本の分業化の一種で、企業内部で調達していた物を外部企業からの調達に切り換えたり、企業内部で行っていた業務を外部企業への委託に切り換えることをいう。その目的は“餅は餅屋”、つまり外部の専門的企業に委ねることによって調達時間を短縮し、調達費用を削減し、調達に要する資本(雇用や設備)を節約することにある。反面で、品質や価格の水準、安定かつタイムリーな調達を確保しえないリスクがある。また情報流出のリスクも増大する。 内容的には下請けと同じであるが、アウトソーシングと呼ばれるようになったのは、1980年代に多国籍企業が国境を超えた外部委託を増大させてからである。日本では1990年代のバブル崩壊後、市場変動リスクが高まり、企業経営が著しく複雑化したこと、他方、情報通信の発展により、企業間の調整が容易になったことが背景にある。そのためアウトソーシングは、従属的になりやすい従来の下請けと比べて、OEMなど、より対等な企業間ネットワークの形態をとる場合が多い。 こうした傾向は多くの産業分野に見られるが、特徴的なのはデジタル製品分野である。そこではメーカは製品企画、設計、販売、ブランド形成のみを行い、部品調達や組立てなどの製造過程をEMS(電子製造サービス業)にアウトソーシングする傾向が強まっている。いくつかのEMSはメーカから工場を買収して巨大多国籍企業になっている。これは従来の下請けとは異なる業態である。 製造だけでなく開発や支援業務(サービス)でも情報通信を活用したアウトソーシングが行われており、BPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)とかITES(IT活用サービス)と呼ばれている。 (野口宏) |