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近代経済学 |
マルクスの基本定理 利潤の存在と労働の搾取との同値性を示した定理。1955年に置塩信雄が証明したのが最初で、森嶋通夫の命名でこの名で世界に知られるようになった。 この定理は、諸価格が投下労働価値に比例する前提を必要としない。生産価格を前提する必要もない。どのような価格であれ、正の利潤が発生する価格であれば、そのもとで労働の搾取が起こっていることが、数理的に厳密に証明されている。今日、この定理は、技術選択、固定資本、技術進歩、異種労働等を考慮に入れても成り立つことが証明されている。 この定理に対する現在残っている批判には、結合生産がある場合にマルクスの基本定理が成り立たない特殊な例が作れる問題と、いわゆる「一般化された商品搾取定理(GCET)」とがある。 「一般化された商品搾取定理」とは、労働だけでなくいかなる商品をとってみても、その商品を1単位生産するのに直接・間接に必要なその商品自身の量が1単位より小さくなることが、正の利潤の存在と同値な条件として出てくると言う定理である。これは、労働搾取の、「不正」なことという批判的含意を失わせるものだとされる。これに対して松尾匡は、労働以外の商品の直接間接投下量の定式化は、当該商品の生産のための投入物を純生産物とみなす奇妙な純生産概念を前提していると批判している。 (1)松尾匡「数理マルクス経済学の到達点と課題」 『経済科学通信』第95号、2001年。 (2)松尾匡『「はだかの王様」の経済学―現代人のためのマルクス再入門―』東洋経済新報社、2008年、第5章。 (松尾匡) |