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近代経済学 |
マクロ経済政策 市場の失敗に対して政府が対処する政策には、個々の産業に対する規制や課税、補助金等の政策や、福祉・労働等の社会政策があるが、不況を防ぐことによって十分な総雇用を維持し、一般物価を安定させることも経済政策の重要な役割である。これが「マクロ経済政策」と呼ばれ、財政政策と金融政策に二分される。 財政政策は政府によって担われ、不況からの回復には、政府支出の拡大や減税が行われ、景気の過熱を冷ますためには、政府支出の削減や増税が行われる。 金融政策は中央銀行によって担われ、通常は特定の利子率(「政策金利」)を目安として、経済に出回っている貨幣の量(「貨幣供給量」)を調節する。不況やデフレの時は、貨幣供給量の増加を目指して金融緩和を行い、景気が過熱してインフレの時は、貨幣供給量を減らすために金融引き締めを行う。 一般に先進資本主義国では、ブルジョワ階級に支持された政権は、不況対策に消極的で、減税やインフレ抑制、財政収支均衡を志向するマクロ経済政策を取り、労働者階級に支持された政権は、ある程度のインフレを甘受しても、総需要を拡大して失業を減らすことを志向するマクロ経済政策を取る。 (1)碓井敏正・大西広編『格差社会から成熟社会へ』大月書店、2007年、第8章。 (松尾匡) |