基礎研WEB政治経済学用語事典

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 拡大再生産

 拡大再生産は、資本によって生産された剰余価値全部が資本家の個人消費に充てられないで、その一部が新たな資本として追加されることによっておこなわれる。拡大再生産がなされるにはIv+m > Ucになることが前提となる。拡大再生産の最初の表式を以下のようにすると、(T1000v + 1000m > U1500c )
 
 T(生産手段生産部門) 4000c + 1000v + 1000m = 6000
 U(消費手段生産部門) 1500c + 750v + 750m = 3000
 
 また剰余価値mのうち資本家の個人消費にあてられる部門をm’、残りの蓄積される部分のうち不変資本に追加される部分をc’、可変資本に追加される部分をv’で表すと、m = m’ + c’ + v’ の3つに分割される。これをそれぞれの部門に当てはめると、
 
 T 4000c + 1000v + 500m’ + 400c’ + 100v’ = 6000
 U 1500c + 750v + 600m’ + 100c’ +  50v’ = 3000
 
 となる。このうちT400c’は同一部門内で交換され同部門の不変資本に追加され次年度のT4000cはT4400cとなる。また、U50v’も同一部門で交換され次年度はU750vがU800vとなる。また生産手段として存在するT100v’は消費手段に支出されなければならず、他方反対に消費手段として存在するU部門の追加的不変資本U100c’は生産手段に支出しなければならないので、T100v’とU100c’が交換されなければならない。それぞれ次年度に追加されるのでT1000vはT1100vに、U1500cはU1600cとなる。その結果、次年度の総生産物は以下のようになる。
 
 T 4400c + 1100v + 1100m = 6600
 U 1600c + 800v + 800m = 3200
 
 これが同じ割合で繰り返されれば、3年目には

 T 4840c + 1210m + 1210m = 7260
 U 1760c +  880v + 880m = 3520

 となる。拡大再生産の基礎条件はTv + m’ + v’ =Uc + c’ である。


(1) マルクス『資本論』第2巻。
                                        (江尻彰)