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近代経済学 |
不足の経済学 「不足の経済学」とは、ハンガリーの経済学者コルナイ・ヤーノシュが、共産党(社会主義労働者党)独裁下の1980年に出版した著作のタイトル。国有経済において不可避的に発生する全般的不足のメカニズムについて分析している。 国有経済の企業は、損失が政府から補填される「ソフトな予算制約」のために、常に過剰蓄積の傾向を持つ。特に、生産ノルマの変更に対して容易に超過達成で対応できるように、経営者は様々なコネを尽くして原材料や部品などの生産資材を入手し、過剰に在庫しておく。市場原理の導入が進んだハンガリーでは、さらにこれは過大な投資需要の発注として現れる。 他方で「ソフトな予算制約」は、コスト削減や技術革新の誘因をそぐため、生産能力は需要に比べて拡大しない。そのため、慢性的な需要超過に見舞われるが、それがさらに、生産資材を入手できるときに在庫しておく傾向を生み出し、需要超過を進行させる。 (1)コルナイ・ヤーノシュ/盛田常夫編訳『「不足」の政治経済学』岩波書店、1984年。 (松尾匡) |